Saturday, August 1, 2009

ハイヒール その2

17世紀まで、靴の作りやスタイルに男女の区別は殆どなく、女性の足は常にドレスの下にかくされていた事もあり、女性の靴のおしゃれ度は 確実に男性以下でした。が、男性が赤いヒール、バラの花形の飾り(ロゼッタ)、金銀にダイヤその他の宝石をあしらったバックルやリボン等を楽しんでいれば、女性だっ て当然華やかなものが欲しくなります・・よね?

殊に前回述べましたレスタージェの、靴屋としての伝説的な成功の後には、パリの街に高級靴屋が増えます。まずは男性専門の靴屋が何軒もでき、その後、女性の靴屋も少しずつですが増えて行き、この時代までに、今ある靴のすべてのスタイルが作られたと言います。

写真は1740~50年頃のイギリス製ですが、Louis French, Louis Heel, 日本ではフレンチヒールと呼ばれるタイプのヒールのシェイプ。Louisはルイ14世のルイ。上からの深いカーブが中程から下へ向かって裾広がりになる、弧を描くかたちが特徴です。今でも普通にありますよね、これ。細身で軽くて、非常に女性らしいシルエットで、この時代までなかったのが不思議なくらいですが、靴作りの技術の向上も必要だったのでしょう。
シンデレラの物語がこの時代に改めておとぎ話として取り上げられたのも、偶然ではないかもしれません。16世紀までの女性の靴に関しては別に書く必要がありそうですけど、これ以前の時代設定では、シンデレラの物語はなんともつまらないものになったと思えます。

再び靴屋レスタージェについてもう少しだけ。
彼が国王ルイ14世に贈呈した伝説的なブーツがあります。当時の様々な記録によると、『縫い目が一切無く、しかし足にぴったりフィット』したんだとか。その奇跡的な(と言われた)靴がどうやって作られたかについて、レスタージェが秘密を守ったために、人々は様々な考えられないような憶測をしますが、その1つに、吹きガラスの工芸技術を真似て、一気に作り上げたのではないかと考えた人までいます。

シャルル・ペロー原作のシンデレラはガラスの靴は履いていなかったと言います。でもこの物語が出版されたのは1697年。女性が足もとのおしゃれに目覚めた、まさにその時でした。

the photo above from Fashion : A History from the 18th to the 20th Century

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